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カテゴリ「食べ物」のブログ記事

離乳食を食べてくれないとき見直すポイント

乳児検診でよく聞くのが、「離乳食を食べてくれなくて困っている」というお母さんの切実な悩みです。いろいろ考えて試しているのに食べてくれないと、お母さんもイライラしたり落ち込んだりしてしまいますよね。

 

まずは体重がちゃんと増えているなら一安心です。「食べてくれない」ことばかり気にしすぎず、「母乳やミルクでちゃんと大きくなっているわ」と自信を持ってください。

 

それでは離乳食を食べてくれないときに見直すポイントをいろいろと書きますので、参考にしてみてください。

 

☆離乳食には空腹が大事です

 完全母乳で離乳食が進まないときは、授乳回数が多すぎる可能性があります。離乳食の前2〜3時間は授乳を控えて空腹にすると食べてくれるかもしれません。

泣いて母乳を要求する赤ちゃんに根負けしないように、「少しくらい泣いても大丈夫」とおおらかな気持ちを持ちましょう。外出したり、他の子と遊んだりすると、楽しくて頻繁に母乳を欲しがらなくなることもありますのでいろいろ工夫してみてください。

 

☆生活リズムをできるだけ一定にしましょう

 生活リズムが整うと、食事のリズムもついてきます。決まった食事の時間に、椅子に座り(座ったときに足がちゃんと着いているか見てあげましょう)食事をするようにしましょう。

 

☆食事に集中しましょう

テレビを消し、おもちゃが目に付かないようにしましょう。

 

☆家族が一緒に「おいしいね」といいながら食べましょう

 大人が美味しそうに食べている姿をみせながら、同じ時間に一緒に食べられるといいですね。食卓が楽しい場所になると、食べることに興味をもち、食べる意欲がわいてくるでしょう。

 我が家では大人が一緒にごはんを食べられないときは、クマのぬいぐるみが一緒に食べてくれています(「くまちゃんモグモグ、次は◯◯ちゃんモグモグだよ」と声をかけながら)。 

 

☆食感の好みはさまざまなので、いろいろためしましょう

 お子さんの食材の硬さや大きさの好みはさまざまで、ドロドロが好きな子もパリパリが好きな子もいてイロイロです。月齢相当の食材の硬さや大きさにこだわり過ぎず、安全な範囲内でいろいろな食感に挑戦してみましょう。

 

☆食べ方の好みもいろいろです

 どうしてもスプーンが嫌いで口をつぐむお子さんもいらっしゃいます。そんなときは、スプーンは使わず手づかみで食べられるようにしたり、あるいはお母さんが手で口に運んでみてもよいでしょう。お箸で口に運んでもらうのが好きなお子さんもいます。

 

 

ここまで書いたことは、これが正解だから絶対やらなくちゃダメ、ということはありません。合うやり方は家庭ごとに違うでしょうから、お子さんやお母さんに合う方法を探す手助けにしていただければと思います。

あと、離乳食をあげるときにお母さんの気分が落ち込む、眉間にシワがよっているという場合は、「お母さん自身がご機嫌で過ごすためにどうしたらいいか」も考えてみてくださいね。

何よりも食卓でお母さんが「おいしいね」と笑顔で語りかけてくれることが、お子さんにとって幸せだと思います。

 

参考文献:太田百合子:離乳食を嫌がって食べたがりません.どのように対応したらいいですか.小児科診療11:1881-1883,2012

 

安藤

胃腸炎のときの食事について

2017年12月18日
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胃腸炎で嘔吐がおさまって食欲がでてきたときに、どんなふうに食事を開始していけばよいのか悩んでしまうこともあると思います。

 

嘔気や嘔吐がおさまって食欲が出てきたら、消化のよい食事を開始してください(食事の再開は水分が安定して飲めていることが前提です)。食事を開始してから下痢が悪化したら、下痢で失った水分をオーエスワンOS−1やアクアライトORSなどで適宜補充しながら、無理の無い範囲で授乳や食事続けてください。

 

24時間以上固形物を何も食べないと逆に回復が遅れるため、少量でも消化のよい固形物を食べたほうが小腸の回復が良いでしょう。

 

欧米ではバナナ、米、リンゴソース、トーストが胃腸炎のときに伝統的に食べられています。日本では、おかゆ、うどん、蒸しパン、みそ汁などが多いですね。その他、野菜や脂肪の少ない肉(鶏肉など)も胃腸炎後の食事として良いでしょう。この中で好きな物から少しずつ始めましょう。甘い飲み物(フルーツジュースやスポーツ飲料など)、あまいデザート類(ゼリーやプリンなど)は下痢を悪化させる可能性があるのであまりおすすめできません。

 

参考:小児急性胃腸炎診療ガイドライン 2017年版

   小児の薬の選び方・使い方改訂4版 21感染性胃腸炎

安藤

卵アレルギーと予防接種について

2017年10月10日
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卵アレルギーのお子さんにワクチンを打ってアレルギー症状が出ないか不安に思っておられる保護者のかたも多いのではないかと思います。

ワクチンの作り方から、ワクチンに卵の成分が含まれていると考えられるワクチンは、麻しんワクチン(お子さんは麻しん・風しん混合ワクチンとして接種します)、ムンプスワクチン、インフルエンザワクチン、黄熱ワクチン(黄熱ワクチンは海外渡航などで必要になった方だけが接種するワクチン)です。

結論から言いますと、麻しんワクチン、ムンプスワクチン、インフルエンザワクチンいずれも卵アレルギーのお子さんでも接種可能です。

卵アレルギーのお子さんがワクチン接種でアナフィラキシー(全身性の強いアレルギー症状)を起こすオボアルブミン(卵のタンパク)量は1回の接種で600ng以上と言われています。

一方、麻しんワクチン、ムンプスワクチン、インフルエンザワクチンに含まれるオボアルブミン量は麻しんワクチンやムンプスワクチンは1ng/ml以下、インフルエンザワクチンは10ng/ml以下(※1、※2)と非常に微量です。例えば3歳以上のお子さんのインフルエンザワクチンは1回に0.5ml接種しますので、多く見積もっても1回に体に入るオボアルブミンは5ngで、全身のアレルギー症状が出る可能性のある量の100分の1以下です。麻しん・風しんワクチンやムンプスワクチンに含まれる卵の成分はそれよりも少ないわけですから、もちろん卵アレルギーでも接種可能です。

※1日本のインフルエンザワクチンに含まれるオボアルブミン量は最近では1ng/ml以下とさらに減っています。

※2欧米のインフルエンザワクチンは卵の成分を多く含みます(オボアルブミン:20〜1200ng/ml)ので、卵アレルギーのお子さんが海外で接種するときは注意してください。 

以上のことから当院では、卵を食べたことが無い乳児でも、卵アレルギーのあるお子さんでも、インフルエンザワクチン、麻しん・風しんワクチン、ムンプスワクチン接種は通常通り行って問題ないと考えています。

※重度の卵アレルギーの患者さま(卵そのものも加工品も一切食べておらず、極微量で強い全身症状がでるような患者さま)で、当院がかかりつけでない場合は念のためかかりつけ医にワクチン接種についてご確認いただくようにお願いいたします。

ワクチン接種について、ご不安な点などありましたらご相談ください。

 

参考

庵原 俊昭:基礎疾患をもつ人への予防接種 日本小児アレルギー学会誌 第24巻第2号193〜202,2010 

 

安藤

 

赤ちゃんの卵アレルギー最新情報

2017年9月12日
 カテゴリー:

離乳食を始めるころになると赤ちゃんの食物アレルギーが心配ですよね。

離乳食を始める前までに湿疹がよくできていた赤ちゃんなら『アレルギー体質なのでは?』となおさら心配になってしまいます。そのため、卵を食べ始める時期が遅くなってしまうことがあります。

でも最近、湿疹がある赤ちゃんほど卵を食べさせる時期を遅らせると卵アレルギーを発症するリスクが高まることが分かってきました。

国立成育医療センターで実施された研究では、アトピー性皮膚炎と診断された赤ちゃんのうち、生後6か月から極少量の卵を食べた場合、完全に卵を除去した場合に比べて1歳の時点で卵アレルギーの発症が8割も減ったと報告されています。

現在では、湿疹がある赤ちゃんは保湿を含むスキンケアやステロイド外用剤などによって肌をきれいに保ちつつ、医師の管理のもと生後6か月から極少量の卵を接種することを推奨する説もあります。

食べ物は、食べる=腸から摂取するとアレルギーを起こしにくくなり、荒れた皮膚から侵入するとアレルギーを起こしやすくなる(家のほこりなどにも食べ物の成分は含まれています)ことが知られていますので、皮膚をきれいにして症状が出ない程度に食べておくことが大切なのですね。

安藤

 

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